※ 一部改正あり[道路運送法の一部を改正する法律 H28.12.20施行により] 

 

 みなさん、こんにちは!

 

前回取り上げた、事業の休廃止に関する条文を挙げてみます。

 

道路運送法
(事業の休止及び廃止)

38  一般旅客自動車運送事業者(路線定期運行を行う一般乗合旅客自動車運送事業者を除く。)は、その事業を休止し、又は廃止しようとするときは、その30日前までに(旧条文:廃止したときは、その日から30日以内に、)その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。

(2・3は、他の一般旅客自動車運送事業が対象のため省略)

  一般旅客自動車運送事業者は、その事業を休止し、又は廃止しようとするときは、あらかじめ、その旨を営業所その他の事業所において公衆に見やすいように掲示しなければならない。

 

旅客自動車運送事業運輸規則

(事業の休止及び廃止等の掲示)

 第7  法第15条の2第6項 法第38条第3項 において準用する場合を含む。)及び法第38条第4項 の規定により掲示をするときは、緊急やむを得ない理由がある場合を除くほか、休止し、又は廃止しようとする日の少なくとも7日前までにこれをしなければならない。 

  2  一般旅客自動車運送事業者は、営業区域の休止又は廃止に係る事業計画の変更をしようとするときは、緊急やむを得ない場合を除くほか、休止し、又は廃止しようとする日の少なくとも7日前にその旨を営業所その他の事業所において公衆に見やすいように掲示しなければならない。

 

例題 事業者が、事業を休止したときは、遅滞なく、その旨を営業所その他の事業所において

   公衆に見 やすいように掲示しなければならない。

 

根拠条文を示してありますから、正解は❌ですね。でも、この条文を曖昧にしか覚えていない人はかなりひっかかりそうです。特に「遅滞なく」(事が起こったら遅れ滞ることなく、という意味)という用語は試験範囲では重要な4つの条文で出て来ます。暗記をがんばっている人は、よく目にして記憶に残る言葉なので、問題文がもっともらしく読めてしまってひっかかりやすいかもしれません。そして、厄介なことに、この届出等を「事前」にするか「事後」にするかに関する条文は結構多いのです。

事前は「あらかじめ」がキーワードで比較的少ないのですが、事後は「遅滞なく」だけではなく「すみやかに(速やかに)」「○○日以内に」という形で出て来てかなりあります。なおかつ、今見てきた事業の休廃止の条文のように、ひとつの条文の中に「事前」にすることと、「事後」にすることが入っているものもあります。でも、がんばるしかありませんから、少しでも暗記が確実になるようにまとめてみます。重要条文が多いですから、当然本試験で、これに関係する問題はたくさん出題されるので長くなりますが、全て丁寧にみてみましょう。ただし、関係する全条文を掲載するとかなりの分量になるので、解説に必要なもの以外は、まとめのページで指摘することにするので、自分で調べてみましょう。

 

まず、数は少ない「事前」条文をしっかり覚えましょう。「事前」条文は3つしかありません。先に、「事後」条文はたくさんありますと言いました。逆に言えば、数少ない「事前」条文を完璧に覚えるだけでも、覚えたはずの「事前」条文ではない「事後」条文に「事前」が入っていればすぐ❌と判断できますね。では、ここまで見て来た道路運送法の第38条(事業の休止及び廃止)は省略して残りの2つを挙げてみます。

 

道路運送法

(一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金)

 第9条の3  一般乗用旅客自動車運送事業を経営する者(以下「一般乗用旅客自動車運送事業者」という。)は、旅客の運賃及び料金(旅客の利益に及ぼす影響が比較的小さいものとして国土交通省令で定める料金を除く。)を定め、国土交通大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。

  2  国土交通大臣は、前項の認可をしようとするときは、次の基準によつて、これをしなければならない。

  一  能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないものであること。

  二  特定の旅客に対し不当な差別的取扱いをするものでないこと。

  三  他の一般旅客自動車運送事業者との間に不当な競争を引き起こすこととなるおそれがないものであること。

  四  運賃及び料金が対距離制による場合であつて、国土交通大臣がその算定の基礎となる距離を定めたときは、これによるものであること。

 3  一般乗用旅客自動車運送事業者は、第1項の国土交通省令で定める料金を定めようとするときは、あらかじめ、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも同様とする。

 4  第9条第6項の規定は、前項の料金について準用する。この場合において、同条第六項中「当該一般乗合旅客自動車運送事業者」とあるのは、「当該一般乗用旅客自動車運送事業者」と読み替えるものとする。

 

 

はい、第3項で『第1項の国土交通省令で定める料金を定めようとするときは、「あらかじめ」、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも同様とする。』キーワードの「あらかじめ」が出てきました。かつ「国土交通省令で定める料金」とあって、この具体的な料金もよく出題されるので、ここでしっかり覚えておきましょう。リンク先の条文は、

 

道路運送法施行規則

(一般乗用旅客自動車運送事業に係る影響が小さい料金の届出)

 第10条の4  法第9条の3第1項 の国土交通省令で定める料金は、時間指定配車料金及び車両指定配車料金とする。

(以下、省略)

 

 

 この2つの条文から、一般乗用旅客自動車運送事業者は、「時間指定配車料金」「車両指定配車料金」を定めるときは「あらかじめ」、事前に国土交通大臣に届け出なければならないとなりますね。さあ、これで「事前」は2つ覚えたぞ、あと1つだな、といきたいところですが、この第9条の3の問題は、問われる内容は同じでも、違う言葉で出題されるという厄介さがあります。次の例題はすべて同趣旨で正解も一緒です。

 

 例題1 個人タクシー事業者が、時間指定配車料金を定めたときは、遅滞なく、その旨を国土交通

   大臣に届け出なければなりません。

 

 例題2 個人タクシー事業者が、旅客の利益に及ぼす影響が比較的小さいものとして国土交通省令

  で定める料金を定めたときは、15日以内に、その旨を国土交通大臣に届け出なければなりません。

 

 例題3 個人タクシー事業者が、サービス指定予約料金を定めたときは、遅滞なく、その旨を国土交

  通大臣に届け出なければなりません。

 

 はい、「事前」条文なのに、「遅滞なく」「15日以内に」と事後表現が入っているから、正解はすべて×ですね。例題1と例題2は、いまリンク条文を確認してきたので、同じ内容を指しているのは分かりますね。でも、例題3の「サービス指定予約料金」は初見で、いま見て来た条文にはない料金ですね。これは「一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金に関する制度について」という通達の「2.料金 ハ ①」で「サービス指定予約料金は、時間指定配車料金及び車両指定配車料金とする。」と定められています。ですから、ややっこしですが

 

 「旅客の利益に及ぼす影響が比較的小さいもの」

 = 「時間指定配車料金・車両指定配車料金」 

= 「サービス指定予約料金」

 

と覚えましょう。今回のテーマとは外れますが、この通達の中からよく出される問題に次のようなものがあるので、ここで一緒に覚えてしまいましょう。

 

 例題 一般乗用旅客自動車運送事業の料金の種類には、待ち料金、迎車回送料金、サービス指定予

   約料金及びその他の料金があります。

 

 根拠通達は、さきほどの通達の「2.料金 ()料金の種類」で、通達文の内容通りなので正解は○になります。さきほど見たように、「サービス指定予約料金」と「時間指定配車料金・車両指定配車料金」をイコールで覚えていれば間違いませんが、「事前・事後」で覚えた「時間指定配車料金・車両指定配車料金」が入っていないから×ではないかとかひっかからないようにしてくださいね。

 

 少し横道に逸れましたが、「事前」条文の残りひとつを挙げてみましょう。

 

道路運送法

(事業計画の変更)

 第15条  一般旅客自動車運送事業者は、事業計画の変更(第三項、第四項及び次条第一項に規定するものを除く。)をしようとするときは、国土交通大臣の認可を受けなければならない。

 2  第六条の規定は、前項の認可について準用する。

 3  一般旅客自動車運送事業者は、営業所ごとに配置する事業用自動車の数その他の国土交通省令で定める事項に関する事業計画の変更をしようとするときは、あらかじめ、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。

 4  一般旅客自動車運送事業者は、営業所の名称その他の国土交通省令で定める軽微な事項に関する事業計画の変更をしたときは、遅滞なく、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。

 

 

はい、この条文は第3項に『営業所ごとに配置する事業用自動車の数その他の国土交通省令で定める事項に関する事業計画の変更をしようとするときは、「あらかじめ」、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。』と「あらかじめ」が出てきました。そしてまた省令リンクがあるので、面倒でも見てみましょう。

 

道路運送法施行規則

(事業計画の変更の届出等)

第15条 (第1項 第一号~第四号まで省略)

 五 一般乗用旅客自動車運送事業 営業所ごとに配置する事業用自動車の数並びにその種別

  ごとの数及び国土交通大臣が定める区分ごとの数

(第2項 省略)

 

 

「配置する事業用自動車」はタクシー会社を想定すればイメージが湧くと思います。大きい会社はいくつか営業所がありますよね。そこに配置するタクシーの台数のことです。「その種別ごとの数」とは、タクシー、ハイヤーの種別ごとの台数のこと、「国土交通大臣が定める区分ごとの数」とは、都市型ハイヤーかその他のハイヤーごとの台数ということです。この「区分ごとの数」は具体的になんのことか問われることは今までないので、中身を忘れてしまっても条文通り覚えれば大丈夫です。とにかく単純に「配置する事業用自動車の数と種別は、事前に届け出」と覚えれば大丈夫です。

 

 例題 一般旅客自動車運送事業者は、営業所ごとに配置する事業用自動車の数を変更したときは、

  30日以内に国土交通大臣に届け出なければなりません。

 

 即、×ですね。「事前」はこの3つのみです、以上と言いたいところですが、おっと、この条文は、初めに見た事業の休廃止の第38条と同様、「事後」の条文も入っているので注意しなければなりません。第4項に

 

  一般旅客自動車運送事業者は、営業所の名称その他の国土交通省令で定める軽微な事項に関する事業計画の変更をしたときは、「遅滞なく」、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。

 

  なおかつ、リンク条文あり! もう面倒ですね! でも、ここが踏ん張りどころ、前にも言いました様に、面倒な条文ほど、出題者側から見れば難問作成の宝庫に見える訳ですから、負けずに覚えてしまいましょう。リンク条文は、

 

 道路運送法施行規則

15条の2  法第15条第4 の国土交通省令で定める軽微な事項は、次のとおりとする。

 一  主たる事務所の名称及び位置

 二  営業所について、イからニまでに掲げる事業の種別(運行の態様の別を含む。)に応じ、それぞれイからニまでに定める事項 (イ~ハ 省略)

 ニ 一般乗用旅客自動車運送事業 名称及び位置(営業区域内における位置であつて、新設、変更又は当該営業区域内に他の営業所が存する場合における廃止に係るものに限る。)

  (以下、省略)

 

 

  ということは、同じ事業計画の変更に関する条文でも、「営業所の名称その他国土交通省令で定める軽微な事項 = 主たる事務所の名称及び位置、営業所の名称及び位置」を変更する場合は、変更した「事後」に「遅滞なく」届け出ればよい訳です。何度見ても法律の表現はややっこしいですが、日常語でいえば、会社の事務所名・営業所名と住所を変更したときは、ってことです。例えば「○○タクシー」という会社が、「○○交通」と社名変更したり、広い土地に引っ越して住所が変わったときは、「事後」に届け出ればいいということです。

 

  例題 個人タクシー事業者が、営業区域内で引っ越しをすることになりました。この場合、営業所

   の位置が変わるので、その旨を、あらかじめ国土交通大臣に届け出る必要があります。

 

 はい、「あらかじめ」が入っているので、正解は×ですね。そう、個人タクシーにとっては、引っ越した場合にどのような届出をするのかの根拠になる条文なのです。

 

 さて、ここまで、3つ「事前」条文が含まれるもの(リンク条文は省略)をみてきました。

 

  道路運送法

    第38条 (事業の休止及び廃止) 

    第9条3 (一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金)

    第15条 (事業計画の変更)  ※ 事後もあり

 

 実は当組合の講習会で猛勉強していた受講生から「もうひとつ事前条文あるんじゃないですか?」と質問を受けたことがあります。とてもよく勉強している人でしたから、そこを疑問に思ったことを素晴らしく思い、そこから出題される比較的難問についても話が膨らんだことをテーマ外ですが、書いてみます。

 その受講生が指摘してくれたのは、次の条文でした。

 

 道路運送法

(運賃及び料金等の掲示)
第十二条  一般旅客自動車運送事業者(一般乗用旅客自動車運送事業者を除く。)は、運賃及び料金並びに運送約款を営業所その他の事業所において公衆に見やすいように掲示しなければならない。
  路線定期運行を行う一般乗合旅客自動車運送事業者は、前項に掲げるもののほか、国土交通省令で定めるところにより、運行系統、運行回数その他の事項(路線定期運行に係るものに限る。)を営業所その他の場所において公衆に見やすいように掲示しなければならない。

 3  一般旅客自動車運送事業者は、前二項の規定により掲示した事項を変更しようとするときは、あらかじめ

 その旨を営業所その他の場所において公衆に見やすいように掲示しなければならない。

 

   受講生の質問は、第3項の主語が「一般旅客自動車運送事業者」で、「あらかじめ」が入っているから、運賃及び料金等を変更するときは、事前に掲示しなければならないのではないか? ということでした。確かに第3項だけ見るとその通りですね。しかし、第1項の主語が( )の但書きがついていて、我々のタクシー事業者は除くとしています。同じ条文内では、このような但書きを解除する文言がない限り、その但書きは有効になるので、第3項の主語も我々のタクシー事業者を除いた一般旅客自動車運送事業者が対象なので、今回の覚えるべき「事前」条文には入れていないのです。
   さて、出題頻度はそれほど高くないですが、この条文に関して、過去に何度かひっかけ問題が出されたことがあります。それは、
   例題 一般乗用旅客自動車運送事業者は、運送約款を営業所その他の事業所において公衆に見やすい
     ように掲示しなければならない。
   正解は、今見て来た第1項の但書き通り、我々のタクシー事業者は適用除外ですから、×ですね。でも、多分、みなさんの会社のほとんどは、この運賃及び料金はないかもしれませんが、運送約款を営業所に掲示しているのではないでしょうか? もちろん、掲示が禁止されている訳ではないので違反ではないですが、「掲示しなければならない」となると、×になりますよね。

 

 ちょっと違う問題へ寄り道しましたが、先に挙げた3つが大事ですので、「事前」条文の部分を先ずは完璧に覚えましょう! そうすれば、その他の内容で「あらかじめしなければならない」と聞かれれば、すべて×と答えられるようになります。

 

 次に、「事後」条文ですが、上の2つの条文に含まれるものも含めて、ここに、まとめてある中の「事後」というキーワードと「○○日以内」というキーワード(輸送実績のみ5月31)が含まれる条文を自分で探してみて、覚えてみましょう。ここに法令名と何条か挙げようと思いましたが、学習のためにも、自分でテキストと格闘してみてください。

  

 次回は、「認可を受けなければならないもの」というテーマでお話しする予定です。今回は大変長くなりましたが、お読みいただきありがとうございました。