みなさん、こんにちは!

今回は、「認可」に関する問題を考えてみます。まず、平成287月 北海道運輸局の法令試験問題から実際の出題を見てみましょう。同試験内で3題も出題されています。

 

例題 道路運送法に規定する運賃及び料金の変更認可申請は、個人タクシー事業者も行うことが

  できます。 ○

 

例題2 事業者が現に定めている運送約款を標準運送約款と同一のものに変更したときは、道路運

  送法の規定により認可を受けたものとみなされます。 ○

 

例題3 事業者は、事業計画のうち自動車車庫の位置又は収容能力を変更しようとするときは、認

  可を受けなければなりません。 ○

 

例題2は、少し特殊なので次回に予定している「運送約款とは」で詳しく触れます。いまは、これから説明する「認可」を受けなければならないもののひとつに「運送約款」があると覚えてください。例題1は運賃・料金の変更、例題3は事業計画の変更について、問題の表現は違いますが、それぞれ「認可」を受けるべきもの、「認可」が必要なものと覚えていれば簡単な問題になります。必要なものをまとめてみると、

認可=運賃・料金・事業計画の変更・運送約款・相続・譲渡譲受[※公定幅運賃は届出]

となります。この中でも「事業計画の変更」については、様々な形で聞かれることが多いです。

 例題4 営業区域内にある自宅を主たる事務所及び営業所としていた個人タクシー事業者が、 当該自宅を増築した場合、主たる事務所及び営業所の広さに変更があっても位置に変更がなければ、事業計画変更の手続きは必要ありません。

 正解は○です。まず、この問題には「認可」という言葉が出て来ませんから対象外では? と思われるかも知れません。確かにこの例題で問われているのは「認可」事項ではないのですが、「事業計画の変更」は、「認可」を受けなければならないものと「届け出」手続きだけでよいものがあるので、先の例題3とよく見比べてしっかり確認してみましょう。法律を辿るのは大変骨の折れる作業ですが、まずは「事業計画」がどこで定められているか見てみます。

 

 道路運送法

 (許可基準)

第5条 一般旅客自動車運送事業の許可を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を国土交通大臣に提出しなければならない。

  氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

  経営しようとする一般旅客自動車運送事業の種別

  路線又は営業区域、営業所の名称及び位置、営業所ごとに配置する事業用自動車の数その他の一般旅客自動車運送事業の種別(一般乗合旅客自動車運送事業にあっては、路線定期運行(路線を定めて定期に運行する自動車による乗合旅客の運送をいう。以下同じ。)その他の国土交通省令で定める運行の態様の別を含む。)ごとに国土交通省令で定める事項に関する事業計画 (以下、省略)

 

 この第1項第3号の事業計画のうち、我々の一般乗用旅客自動車運送事業に係るものを定めたのが、

 

 道路運送法施行規則

 (事業計画)

4条 (第1項~第7項、省略)

8 法第5条第1項第3号の事業計画のうち一般乗用旅客自動車運送事業に係るものには、次に掲げる事項を記載するものとする。

一 営業区域

二 主たる事務所および営業所の名称及び位置

三 営業所ごとに配置する事業用自動車の数並びにその種別ごとの数及び地方運輸局長が指定する地域にあっては国土交通大臣が定める区分ごとの数

四 自動車車庫の位置及び収容能力

 

 ということは、一般乗用旅客自動車運送事業者が申請する「事業計画」は、上の道路運送法施行規則 第4条第8項の4つの項目ということになります。あれ? 上の二と三は、どこかで見たのと似てますね? 「事前」か「事後」かの回で見た、道路運送法 第15(事業計画の変更)で出てきましたね。第15条では、二の事務所や営業所の名称・位置は、事後に届け出で、三の事業用自動車の数などは、事前に届け出 と覚えましたね。

 はい、どうでしょう、このふたつについては、「事前か事後か」の違いはあってもあくまで「届け出」でした。しかし、道路運送法施行規則 第4条で規定される「事業計画」の残る二つ、「一 営業区域」と「四 自動車車庫の位置及び収容能力」について変更するときは、「認可」を受けなければならない事項なのです。

 ですから、例題3は「四 自動車車庫の位置及び収容能力」をそのまま聞かれていますから○になります。事業計画の中で「認可」が必要なものをしっかり押さえた上で、先の例題4をもう一度考えてみましょう。ここでは、個人タクシー事業者が位置の変更なく(同じ住所で)営業所として使用している自宅を増築しただけですから、どの「事業計画の変更」事項にも当たりませんね。手続き不要ということで、○になる訳です。では、次の例題はどうでしょう?

 

 例題5 個人タクシー事業者の車庫について、その位置に変更がないものの、収容能力を2㎡大きくした場合、事業計画の変更の手続きが必要です。

 

 これは、「四 自動車車庫の位置及び収容能力」の「収容能力」の変更に当たり「認可」手続きが必要なので、○になります。当組合の講習会で、「認可手続き」となっていないから×なのでは? という質問を受けたことがあります。「手続き」という言葉は大きな括りの言葉ですから、当然「申請、届出、認可」などの手続き全般を指しているので、「認可手続き」も含まれることになります。話は逸れますが、講習会をやっているとこちらが思ってもいないような意外な質問を受けることがあります。でも、それはとても大切なことで、あやふやなままだと折角ほとんどの問題に対処できるように勉強してきた人が、意外なところでつまづいていて勿体ない失点をしていたりするので、どんな疑問でも遠慮なく、みなさんが直接お世話になって教わっている方にどんどん聞いてみましょう。他の例として「個人タクシー事業者は、毎事業年度の経過後100日以内に事業報告書を行政庁に提出しなければなりません。」という問題を、いつも満点取っていた受講生が×と答えたので、理由を聞くと提出先が「地方運輸局長」ではないからということでした。きっと、普通の状態で聞かれるとあまり疑問に思わないことが、猛勉強している人にとっては、条文とは違う「意訳」された言葉で聞かれると迷ってしまうようです。

 横道に逸れましたが、まとめると「事業計画の変更」で、認可が必要なのは「営業区域と自動車車庫の位置と収容能力」ということになります。

 

   次に「運賃及び料金」についてです。これも「認可」事項と、事前に「届け出」事項がありますが、事業計画よりは覚えやすいと思います。これも「事前」か「事後」かの回で勉強した条文を今回のテーマの視点でみてみましょう。

 

道路運送法

(一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金)

 第9条の 一般乗用旅客自動車運送事業を経営する者(以下「一般乗用旅客自動車運送事業者」という。)は、旅客の運賃及び料金(旅客の利益に及ぼす影響が比較的小さいものとして国土交通省令で定める料金を除く。)を定め、国土交通大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とする。

  (第2項、省略)

 3  一般乗用旅客自動車運送事業者は、1項の国土交通省令で定める料金を定めようとするときは、あらかじめ、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも同様とする。(以下、省略)

 

   はい、「運賃及び料金の設定と変更」は基本的に「認可」が必要で、「旅客の利益の及ぼす影響が比較的小さいもの = 時間指定配車料金・車両指定配車料金 = サービス指定予約料金」は、事前に「届け出」と覚えて下さい。これをしっかり押さえていれば、あまりひねった問題はみかけません。ただ、ご存知の方も多いと思いますが、現在、多くの地区が、特定地域や準特定地域という地域に指定され、その中では「運賃及び料金」は「認可制」ではなく、行政が公示した「公定幅運賃」内で設定する運賃を「届け出」ることになっています。施行されてしばらく経ちますが、まだ現在(平成288月現在)のところ、このことについての出題はみかけません。なので、もし「公定幅運賃」と問われたら、「認可」ではなく「届け出」ということを頭の片隅に置いておいてください。

 

   「相続」については、「60日以内」に「認可」が必要なことで、日数の部分を問われることが多いので、しっかり覚えましょう。「譲渡譲受」は、みなさんが目指している「認可」な訳ですが、こちらは「認可」が必要云々よりも、認可申請に必要な事項(道路運送法施行規則 第22)の具体的な中身、「譲渡価格」や「譲渡譲受契約書」が必要か否かなどを聞かれることがほとんどなので、しっかり暗記しましょう。

 

   今回も、ご覧いただきありがとうございました。次回は、我々が事業を行う上で「事業計画」と同様に重要な、お客様との約束事を定めた「運送約款」について考えてみます。