みなさん、こんにちは!


 今回は、これから勉強していく用語の中で、私が一番大事だと考えるものについて解説してみたいと思います。早速、例題です。

 

 例題 個人タクシー事業は、旅客自動車運送事業の中の一般乗用旅客自動車運送事業に該当します。

 

 前回の法令用語に慣れようを早速実践されている方には、もう簡単なサービス問題ですね。そう、正解は○です。根拠条文は、道路運送法の第3条で定義されています。

 さて、みなさんが今仕事しているタクシーは、例題の通り一般乗用旅客自動車運送事業と法令では定義されています。そして、この例題からも分かる様に「旅客自動車運送事業」が大きな括りで、その中にいくつか種類があり、そのひとつがタクシー事業ということですね。このいくつかの種類を正確に覚えることも重要ですが、その前に、今回はこの大きなくくり「旅客自動車運送事業」について分析してみたいと思います。

 

 まず、この用語は1条前の第2条で、次の様に定義されています。

 

 「旅客自動車運送事業」とは、他人の需要に応じ、有償で「自動車」を使用して「旅客」を

 「運送」する「事業」とあります。

 

 日常語で「緑ナンバーの車で営業」で通じる所を、随分面倒くさく表現するものですね。でも、法律は、どこからも隙なく私達の事業を定義してくれていることが勉強するほど分かってきます。

 まず、タダで他人を運送するのではないこと。当たり前ですよね、商売ですから。そこを「他人の需要に応じ、有償で」、平たく言えば、お客さんからの「東京駅まで急ぎで」とか「ちょっとそこまでなんだけど」などの需要、つまりリクエストに応じて運賃を頂いて、ということになります。そして「旅客を自動車を使用して」、これも当たり前ですね。でも、ここも他の条文とリンクさせて考えていくとしっかり基礎が身につきます。

 

 まず、旅客、お客さんのことですが、その需要、リクエストの種類によって「特定旅客」か「一般旅客」に区分して定義しています。
 「特定旅客」とは、たとえば、ある大型の民間施設にのみ行きたい「特定の需要に」応じて、駅などから民間施設までの「一定の範囲のみ」を有償で運送するのを特定旅客自動車運送事業といいます。それに対して「一般旅客」とは、法令では非常に簡潔に「特定旅客以外の」ものを「一般旅客」としています。それだけ?って感じですが、自分から見て他人全てということになります。

 ここで、例題です。

 

 例題 一般旅客自動車運送事業者は、12歳以下の小児のみを運送することはできません。

 

 正解は、×です。先ほど見た、一見簡潔に見える「特定旅客以外の」 「一般旅客」には、この例題で問われている年齢の制限的な定義はありませんね。つまり、特定旅客以外の一般の他者はすべて 「一般旅客」 になります。ここで、普通は「一般旅客」の種類、「一般乗合」 「一般貸切」 「一般乗用」 についての説明になりますが、ここでは、はじめに言いました様に、これら全ての事業を大きく括る「旅客自動車運送事業」の分析を進めていきますね。


 ここまでこの用語の定義「他人の需要に応じ、有償で旅客を」まで掘り下げて来ました。最後に「自動車を使用して」の部分を考えてみましょう。

 

 私達の仕事は飛行機や船や電車などでお客様を運送するのではなく、運送する手段は「自動車」と定義しています。はい、ここで勘のいいみなさんはお気づきですね? そう、日常的に街中で見る旅客を運送する緑ナンバーの自動車は、路線バス、観光バス、我々のタクシー、ハイヤー、そして、はじめに考えた特定旅客を運送する自動車など、いろいろ種類がありますね。このように使用する「自動車」の種類は、道路運送法の第3条で定義されていますので、これからは日々、街中の緑ナンバーに注意して、それがどの旅客自動車運送事業に当たるのか見てみてください。

 さて、どうでしょう、今一度「旅客自動車運送事業」という用語を眺めてみて、私達の仕事を法律が隙なく定義していることが見えてきましたか?

 

 ここまでは、条文で定義されている意味からこの用語を見てきましたが、 実は、この用語は見方を変えると、これからみなさんが直面する問題の要素がほとんど含まれているのが分かってきます。 「旅客」 「自動車」 「運送」 「事業」と熟語に分解して、それぞれが法令の中で、関連しているものを考えてみると、全部重要事項と関連しているのです。

 

 まずは「旅客」です。当たり前ですが私達はこの「旅客」がいなければ仕事になりません。私達の仕事の目的は、お客様をいかに安全、迅速かつ確実に目的地までお届けするかですね。それを法律用語では、「輸送の安全」 「旅客の利便」を確保するという言葉で表現しています。そして、この目的を達成するために、事業者としてなすべきこと、守らなければいけないことが、法令で細かく規定されている訳です。

 次に「自動車」です。これは私たちが仕事で使う自動車は、法令の中でどのように規定されているか、ということです。具体的には、道路運送車両法で自動車の所有権や点検整備の仕方などが規定されています。

 次に、「運送」です。私たちはお客様を 有償で 運送するわけですから、運送するためには運賃や料金をいただくことになります。運賃や料金はどうのように決められているのかなどを理解している必要がある訳です。また、お客様を運送するためには、当然、運送責任も伴います。これらは、運送約款 平たく言えば、事前に取り決めておくお客様との約束事ですが、そこに具体的に書かれています。また、運賃・料金の細かい制度については関係通達に示されています。

 最後に、「事業」という部分です。ここが今、会社員としてタクシー会社に雇用されているみなさんが普段は考えなくていい部分で、逆に言えば、法令勉強の中で、なかなかみなさんが理解に苦しむところです。法令の中でのメインは、「事業計画」という風に出てきます。事業を行う経営者として、事業計画を出すこと、事業の結果を報告する書類を出すこと、事業に伴う責任や過失等があれば命令などを受けること、などいろいろと法令に定められている訳です。

 実は個人タクシーの試験を受けるために申請すること自体が、事業計画の申請です。なぜかというと、試験や運転経歴等の資格要件にパスするだけでなく、申請書には、どこの営業区域で、営業所はどこにおいて、事業用自動車の車庫はどこに確保するのか、運転資金などの開業資金をどのように確保しているのか、などを書く訳ですが、これがすべて実は事業計画そのものなのです。

 

 このように別の観点から「旅客自動車運送事業」を考えてみました。まとめてみると、「旅客」は「輸送の安全」と「旅客の利便」。「自動車」は 道路運送車両法に規定される事業用自動車。「運送」は 「運送約款」に規定される「運賃・料金・責任」。「事業」は「事業計画」となりますね。

 今回は長くなりましたが、この 「旅客自動車運送事業」という言葉が、大事な要素をたくさん含んでいる基礎の基礎であることを押さえていただければと思います。

 なにに置いても基礎は大切ですよね。まだクリアには理解できないかもしれませんが、ひと通り勉強して合格レベルに達した後、お時間あれば、この回をもう一度みていただけると、全てがこの用語に集約されていたんだなあと気づいてもらえると思います。

 

 今回もご視聴ありがとうございました。次回は、重要条文の覚え方の一例 をお送りする予定です。