みなさん、こんにちは! 更新が遅れ気味ですみません。いよいよ、この講座も残すところ2回の予定になりました。

 

 前回までで、法令問題の約8割以上は取り上げられたと思います。今回は、大きな分類にはまとめにくくても、比較的よく出題される様々な問題を見ていきましょう。さっそく、例題です。関連条文はここに書かないので、該当条文のテキストを開いて見てください。

 

  例題1 一般乗用旅客自動車運送事業者の事業用自動車の運転者は、迎車回送しようとする場合には、

    回送板を掲出しなければなりません。

 

  例題2 タクシー運転者が「回送板」を掲出しなければならない場合は、食事若しくは休憩のため運送の

    引受けをすることができない場合だけです。

 

 旅客自動車運送事業運輸規則第50条 第6項と第7項に関する問題です。「回送板」は、この条文で定める内容以外では勝手に掲出してはならないことになっています。これは、運送の引受けを出来ない正当な理由を示すときのみに使い、不当な乗車拒否等を防ぐ目的で定められた条文です。「回送板」を掲出できる場合として条文では、

  

  ①食事、休憩

  ②乗務の終了等のため営業所若しくは車庫に回送

 

 を挙げています。この条文のミソは②の、乗務の終了等の「等」の部分です。食事・休憩・乗務の終了の3点だけではなく、「等」とすることで、その他の正当な事由を定めることを許容しています。その部分を「ハイヤー・タクシー車両の表示等に関する取扱いについて」という通達で、各地域の状況により運転監理部又は各運輸支局毎に定めています。例えば、「運賃メーター器の故障等のため」とか「燃料等の補給のため」などです。

 実際の出題では、例題1のように、本来「迎車板」を掲出するところを「回送板」を掲出など、上記①②に合致しないものを問う×問題と、例題2のように、「回送板」を掲出できる条件①②を理解しているかを問う問題が一般的です。食事・休憩以外にも「回送板」は見て来たように掲出できるので、正解は×になります。

 

 次に、事業用自動車内に掲示するもの、備え付けるものに関する問題です。

 

  例題3 旅客自動車運送事業者は、事業用自動車内に当該事業者の氏名又は名称を掲示する必要は

    ありません。

 

 根拠条文は、旅客自動車運送事業運輸規則第42条です。実際の営業車を思い浮かべてください。車内のどこのことを言っている条文か分かりましたか? そう、一般的にダッシュボードの左上に据え付けている、車外側に「実車」や「空車」等の表示、車内側に事業者の名称・自動車登録番号を表示している表示装置と、そこに差し込む運転者証(個人タクシーは事業者乗務証)に記載されている運転者の氏名のことを規定した条文です。我々の車は自家使用ではなく、「運送約款」でも謳っているように運送責任も負っている訳ですから、運行主体の情報を明瞭に示す必要があります。なので、当然正解は×ですし、なおかつ、この例題では問われていませんが、「旅客にみやすいように掲示」という部分も重要です。汚れてみにくくなっていたり、破損して事業者名の一部が読めない状態だったりも違法ということになります。

 

 次に事業用自動車内に備え付けるものに関する問題です。

 

  例題4 個人タクシー事業者の場合、タクシー車両に備え付ける地図は、少なくとも営業区域のうち自分

    が主として営業する地域のものでよいこととされています。

 

  例題5 タクシー車両には、地方運輸局長の指定する規格に適合する地図を備えておかなくてはなりませ

    んが、カーナビゲーションシステムが装着されている場合は、当該地図を備えておく必要のないことが

    旅客自動車運送事業運輸規則に規定されています。

 

 根拠条文は、旅客自動車運送事業運輸規則第29条です。条文に両例題とも合致していないので、正解はともに×です。この条文で大事なのは、地図の規格を指定するのは「地方運輸局長」であること、各号の項目が明示されているものであることです。なので、カーナビを装着していても適用除外にはならないし、事業者の判断する範囲の地図でいいことにも当然なりません。常識だけでも解ける問題とは思いますが、この条文は○×問題のみならず、穴埋めでもよく出題されるので、各号の指定事項をしっかり暗記しておきましょう。

 

 次も事業用自動車内に備え付けるものの問題ですが、100%に近いくらい、この条文からの出題は多いです。要約して出題されることもありますが、ほぼ長い条文通り出題され、文末表現で「できる・できない」で正解が分かれるだけなので、とても簡単な問題です。なぜ、多く出題されるか理由は不明ですが、必ずといっていいほど出るので、無駄に失点しないよう、覚えておきましょう。

 

  例題6 旅客自動車運送事業者は、事業用自動車に応急修理のために必要な器具及び部品を備えなけ

    れば、当該事業用自動車を旅客の運送の用に供してはなりませんが、運送の途中において当該事業

    用自動車に故障が発生した場合に、これらの器具及び部品を容易に供給することができるときであっ

    ても、当該事業用自動車を旅客の運送の用に供することはできません。

 

 根拠条文は、旅客自動車運送事業運輸規則第43条です。長ったらしい条文ですが、要は、パンクした場合などに応急修理をするための器具や部品を備え付けておかなければ運送してはダメですよ、でも、我々は極力、お客様を目的地へ輸送する義務を負っているので、パンク等もすぐに修理して運送が継続できたり、球切れ等でも、すぐに球を入手交換できれば、運送を継続していいですよ。という当然の内容なので、問題文の表現をよく読んで答えれば間違えないと思います。例題の正解は×ですね。

 

 今回取り上げたいずれの問題も、当組合の講習会初参加者にいきなりやってもらう模擬試験で出題しても、ほぼ間違わないので、学習していなくても解けると思います。しかし、こういう問題で取りこぼしがないように、出題文の主語や文末表現によく注意して答える習慣をつけてくださいね。

 

 ここまでは、すべて法令について、その理解度を問われる問題をずっと見て来ましたが、最後に、根拠条文がない問題について考えてみたいと思います。

 

 

 今回も、ご覧いただきありがとうございました。