みなさん、こんにちは!

 

 いよいよ、この講座も今回で最後です。今までは、普段聞きなれない法律用語ばかりの条文と格闘してきましたが、最後に考えるのは、出題の根拠になる条文がない? 問題についてです。そんなのあり? って感じですが、ひとつの試験にいつも数題は出題されています。その例題をいくつかあげてみましょう。

 

例題1 タクシーの運賃料金メーター器が故障したため、新しいメーター器に変更する場合、運賃及

 び料金の変更認可の手続きが必要です。 

 

例題2 個人タクシー事業者は、過労防止のため、乗務時間について予め管轄の行政庁に報告する

 必要があります。

 

例題3 事業を休止中の個人タクシー事業者は、事業用自動車の代替はできません。

 

 どの例題も全く法令に関係ない訳ではないので、強いて関連条文を示しながら説明すれば出来ないこともないでしょう。ただ、明らかに今まで学習してきた問題のように、根拠条文がはっきりしている問題とは違いますね。

 

 例題1は、運賃及び料金の変更認可手続きに関する条文にメーター器の交換は、変更対象項目になっていないから×とも説明できますが、素直に運賃及び料金の変更認可の理解度を問う出題とは毛色が違いますよね。

 

 例題2は、行政庁側から通達で、個人タクシーの許可条件として「月に2日以上の定期休日を定めること。」というのがありますが、事業者側から「乗務時間」について行政庁に報告すべしという条文はどこにもないので×です。

 

 例題3は、事業を休止中に事業用自動車の代替を行ってはいけないという条文は存在しないので×です。この「代替」の部分が「変更登録」になったり「継続検査」になったりしますが、どれも同じです。

 

 さて、最終回のタイトルを「根拠条文なし問題」として見てきましたが、最後の最後にタイトルとはそれますが、当講習会で、いつも受講生が理解するまでに苦しむ条文について解説して、この講座をお開きにしたいと思います。その条文は、

 

 道路運送法 

(免許等の条件 又は期限)

 第86条 免許、許可、登録または認可には条件又は期限を付し、及びこれを変更することができる。

 2 前項の条件又は期限は、公衆の利益を増進し、又は免許、許可、登録若しくは認可に係る事項の

 確実な実施を図るため必要な最少限度のものに限り、かつ、当該道路運送事業者(道路運送事業を

 経営する者をいう。以下同じ。)又は自家用有償旅客運送者に不当な義務を課することとならないもの

 でなければならない。

 

 この条文には主語がありません。(免許~には、が主語ですが、免許~を与える主体の主語がないという意味です。)問題に苦悩している受講生と問答をしてみると、それが分かっていないことと、「免許、許可、登録または認可」と「条件又は期限を付し、及び変更する」が、なんとなく分かるが全て曖昧ということに尽きるのがよく分かりました。

 まず主語は、国土交通大臣や地方運輸局長、運転免許証でいえば国家公安委員会から委任を受けた各都道府県の公安委員会などの「行政庁」です。分かりやすい例で「運転免許証」で考えてみましょう。運転免許証は当たり前ですが、自動車を運転するために教習所等で運転技術を学び必要な学科試験に合格した後、自動車を運転することを許される「免許」のひとつですね。わざわざくどく書いたのは、一定の試験に合格した者に「免許」を与えるのは「行政庁」だということです。だから、運転免許の有効「期限」や運転免許証を保持できるための「条件」も、免許を持っている運転者側が決められるのではなく、当然、「行政庁」が、事故を起こすと減点したり免許を取り消すこともありますよという「条件」を付けたり、何にもなくても新免から3年後という「期限」を設けて、免許を更新しなさいよ、などするわけです。かといって、全て勝手に「行政庁」がルールを決める訳ではなく、第2項で「公衆の利益を増進」する観点と、各事業者に「不当な義務を課すこととならない」ものでなければならないと正当な範囲での「条件又は期限」の付与を謳っています。

 

例題  道路運送法の規定では、許可に条件を付すことができるとされていますが、認可には条件を

  付すこと.ができないとされています。

 

 この条文に関する出題例ですが、「行政庁」は、条文通り「許可」にも「認可」にも条件を付すことができますから、正解は×ですね。さて、ここまで正確に触れて来ませんでしたが、「許可」と「認可」の違いってなんでしょう? この法律用語の違いは、様々な解説がありますが、非常に説明が難しいです。テキストの巻末の「知っておきたい用語」にも解説が載っていますが、これを読んで、すぐに理解できる人は法律を専門にしている人ならともかく、なかなか難しいと思います。

 ただ、みなさんは、今、目前にこの「許可」と「認可」を受けようとしているので、それで説明してみましょう。では、テキストの関係通達の中の「一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシーに限る。)の申請に対する処分に関する処理方針」というタイトルのページを探して開けてください。要するにみなさんが、個人タクシーを目指すときに出す申請書に対して、どういう申請者だったら「許可」するか「認可」するか、どういう「条件・期限」を付けるか、ということが事細かく書かれているので、長いですが、ざっと目を通してから、ここに戻って来てください。

 

 どうでしょう? いろいろ書いてありますね。まず、みなさんが個人タクシーを受けるということは、個人タクシーの「許可」をもらうことだと分かりましたか? えっ? 今はほとんどの区域で、新規許可は凍結されてるから譲渡譲受「認可」じゃないの? と思いましたか? 確かに、今、一部の区域を除いては新規許可はありません。でも、この通達に書いてある通り、みなさんが目指すのは個人タクシーの「許可」条件に適う営業区域や年齢や運転経歴や法令遵守状況や資金計画や営業所や事業用自動車や自動車車庫や健康状態や運転に関する適性や、そして今、勉強している法令及び地理に関する知識などを備えている必要がある訳です。その「許可」条件に該当する人が、初めて個人タクシーの申請ができ、新規許可が認められている区域なら、そのまま新規「許可」を目指し、新規許可が凍結されている区域では、譲渡譲受または相続の「認可」を目指すことになるのです。通達の中の「Ⅳ.譲渡譲受及び相続の認可」の部分を探してください。その「1.の(2)譲受人の資格要件」をいうところを見ると、たった1行「Ⅰ.に定める基準を満たす者であること。」とあります。たった1行ですが、この通達を見て分かる通り、「Ⅰの基準」とは、さっきみた「許可」条件全てのことです。つまり、譲渡譲受及び相続の「認可」を受けるということは、申請通達に規定する「許可」基準に該当する譲受人及び相続人が個人タクシーの申請をし、その基準に全て該当した申請者が、譲渡人及び被相続人の事業を受け継ぐ「認可」を受けるという形になります。

 そして、みなさんの努力が実って、めでたく個人タクシーを開業できるとき、事業の「認可証」の裏に、通達の中の「2.新規許可等に付す条件」が基本的に全て印刷されているはずです。私も自分が勉強しているときは、正直、申請・許可・認可・条件・期限等、曖昧にしか理解できていなかったと思います。しかし、法令試験に無事パスし、「許可」要件を満たすことを証明するための書類を集めて申請し、無事に「許可」(私は新規許可で開業できた年でした。)を受け、実際に「許可証」の裏に印刷されている、この付された「条件」を見たり、何度か更新の「期限」が来て、期限更新を受けるうちに、こんなにハッキリしていることが曖昧にしか理解できていなかったんだなあと思いました。やはり、実体験のないものを覚えるのはなかなか大変なことです。

 

 でも、ここまで、この講座のまとまりのない駄文にお付き合いしていただいたみなさんは、きっと、それぞれの地区の勉強会や、あるいは独学で、かなりがんばっておられることと思います。言い古された言葉ですが「努力は嘘をつきません。」 また、直前に軽微な違反を起こしてしまって受験できなかったり、1点足りずに試験に合格できなかった人でも、また「許可」基準を満たすチャンスが数年後に訪れるのを待って再チャレンジして見事合格し、開業している方もいます。

 

 若いときと違って中高年になってからの勉強は正直つらいです。でも最後まで諦めずに、みなさん、ぜひ、夢を達成してください!! 今までご覧いただきありがとうございました!!