みなさん、こんにちは! ここのところ私事多忙で更新ペースが落ちていることをお詫び致します。更新不定期ですが、お許しください。

  

 前回までは、「旅客を運送する事業」という観点から様々な問題を考えてきました。でもまだ肝心な事業を経営する「車両」について何も考えていませんね。そう我々はどんな「車両」を使用しなくてはいけないのでしょうか? この点もタクシー会社にいるみなさんは「日常点検」以外、特に意識しなくてもいいですよね。専属の整備士がいて定期点検整備も継続検査も故障時もすべて対応してくれます。しかし、個人タクシーを開業するということは、外部発注も含めすべて自分で行う訳ですから、「何か月毎に定期点検整備は必要?」「継続検査は何年毎?」「日常点検項目は?」「自動車検査証の記載事項の変更は?」など、正確にわかっている必要がある訳です。

 

 例年の法令試験の出題割合を見ていると、「道路運送車両法」とそれに準ずる政令・省令・通達から出される問題は、その他に比べると少ないのは事実です。しかし、2割前後はどの地域でも出題されるので、試験対策を怠ると当然合格レベルには達しません。でも、試験云々に関係なく、開業してから日々人生を共にしていくのは、オーバーな言い方でなく自分の「愛車」だ、というのは、がんばって個人タクシー経営されている方ほとんどすべてが思っていることでしょう。会社では、ちょっと担当車が故障しても代わりに乗る車が空いていれば乗務できるし、荒い乗り方をして、タイヤやブレーキパットを減らそうが、日常点検や清掃を疎かにしても反対番がしっかりやってくれるからとか、耳の痛い方もいるかもしれませんが、個人タクシーの場合、事故や車の故障で何日も休まざるを得なくなれば、もろに生計に打撃を受ける訳で、大事に乗る人が多いのは当然ですね。ですから、開業後の自分を想像して「車両」に関する問題と取り組んでいただければと思います。

 

 まず、この「車両」について定めた大元の「道路運送車両法」の目的からみてみましょう。

 

 (この法律の目的)

  第一条  この法律は、道路運送車両に関し、所有権についての公証等を行い、並びに安全性の確保

    及び公害の防止その他の環境の保全並びに整備についての技術の向上を図り、併せて自動車の

    整備事業の健全な発達に資することにより、公共の福祉を増進することを目的とする。

 

 目的を定めた重要条文ですから暗記は前提です。具体的な「目的」は、①「所有権の公証等」、②「安全性の確保及び公害の防止」、③「環境の保全並びに整備技術の向上」で、これらを「自動車の整備事業の健全な発達」に「資する」(=役立てる)ことで、大目的「公共の福祉を増進する」という文章構造です。この条文自体に関する出題は、暗記していれば簡単なものばかりです。

 

  例題1 道路運送車両法の目的は、所有権の公証等を目的のひとつにしています。

 

  例題2 道路運送車両法の目的は、自動車整備の技術の向上を図ることを目的のひとつにしています。

 

 この①「所有権の公証等」について、具体的な条文の部分が出題されると、

 

  例題3 事業用自動車の所有者の名義が変わった場合、道路運送車両法の規定に基づく変更登録

     の申請をしなければなりません。

 

  例題4 事業用自動車の所有者の住所変更の場合、道路運送車両法の規定に基づく変更登録の申

    請をしなければなりません。

 

 これは、条文を勉強していないと解けませんね。両方の例題とも後半は全く同じで「変更登録の申請」となっています。前半も、「所有者の」までは同じで、変わったものが「名義」と「住所」の違いだけです。正解は、例題3が×、例題4は〇になります。根拠条文は、「道路運送車両法」の第12(変更登録)と第13(移転登録)なので、テキストの該当条文を見てみましょう。

 「変更登録」の方は、変更事項がたくさん書いてありますが、「移転登録」は、「所有者の変更」のみです。つまり、「移転登録」とは、一般的な表現で言うところの「名義変更」に当たるものです。これらの条文に関する問題は、この「移転登録」は内容的に「名義変更」のこと、それ以外の変更は「変更登録」、この1点だけ押さえれば大丈夫です。

 

 さて、同時に「道路運送車両法」に関して覚えておくと便利なことは、この二つの条文にも合致するように、提出期限が「15日以内」となっているところです。「道路運送車両法」の他の届出条文を見てみると、有り難いことに、他の提出期限ある条文もすべて「15日以内」なのです。他は第15条、第67条、第69条なのでチェックしてみましょう。次の様な問題が出ても、もうサービス問題ですね。

 

 例題5 道路運送車両法の規定で、自動車の使用者は、自動車検査証の記載事項に変更があった

    ときは、その事由があった日から30日以内に、当該事項の変更についての手続をしなければ

    なりません。

 

 次に目的の、②「安全性の確保及び公害の防止」、③「環境の保全並びに整備技術の向上」を具体的に定めた条文は、「日常点検整備」「定期点検整備」「整備命令等」など様々ありますが、これらから出題される問題は、一般常識的な感覚で答えても間違えないようなものばかりなので、該当条文を熟読するだけでいいと思います。次の様な出題がほとんどです。

 

 例題6 旅客自動車運送事業者の事業用自動車の運転者は、道路運送車両法の規定による日常点検

    をし、又はその確認をしなければなりません。

 

 例題7 道路運送車両法の規定では、自動車の乗車定員が、保安上又は公害防止その他の環境保全

    上の技術基準に適合していなくてもその自動車は運行の用に供することができます。

 

 例題8 事業用自動車を運行する者は、一日一回運行開始前に自動車を点検する義務はありません。

 

 等々です。これらの問題の模範解答は必要ないですよね。しかし、「何年間どこに保存」とか「有効期限は」とか聞かれると、やはり勉強が必要になってきます。例題です。

 

 例題9 タクシー車両の点検整備記録簿の保存期間は、その記載の日から6ヶ月間と定められています。

 

 正解は×です。根拠条文は、省令の「自動車点検基準」の第4条第2項です。初めの頃にやった「事故は3年、他は1年」に当てはまるもののひとつですね。

 

 例題10 事業用自動車の自動車検査証の有効期間は1年とされていますが、個人タクシーの事業用

     自動車に限っては2年とされています。

 

 正解は×です。まず「個人タクシーに限っては」で触れたように、なんら特例がない時点で×ですが、一般普通車の新車時3年、その後2年と違い、事業用自動車は1年です。根拠条文は、「道路運送車両法」第61条です。

 

 例題11 自動車点検基準に規定する日常点検基準においては、タクシー車両のウインド・ウォッシャ

     及びワイパーは、1ヶ月に1回点検を実施しなければならないこととなっています。 

 

 これも「ウインド・・ウォッシャ及びワイパー」の部分を他に代えるパターンで、よく出る問題です。省令「自動車点検基準」の別表第1に出ている項目の内、表の下に注記のある(※1)の項目は、「走行距離、運行時の状態等から判断した適切な時期に行うことで足りる。」となっているので、この(※1)9項目はしっかり暗記しましょう。よって、正解は×です。

 

 例題12 事業用自動車の使用者は、道路運送車両法の規定に基づき6ヶ月ごとに当該自動車の定期

     点検整備を行わなければなりません。

 

 根拠条文は、「道路運送車両法」第48条第1項第1号にある通り、3ヶ月なので正解は×です。これも一般車の感覚でいると間違えます。

 

 「道路運送車両法」関連の省令にもうひとつ「道路運送車両の保安基準」というのがあります。ここからの出題も通常は一般常識的にも解ける次のような問題、

 

 例題13 事業用自動車の窓ガラスには、運転者の視野が確保されていれば、貼り付けるものに制限は

     ありません。

 

 例題14 自動車の乗車定員又は最大積載量を超えていても、やむを得ない場合は運行できます。

 

 模範解答はいらないと思います。「道路運送車両の保安基準」からは、この様にやさしい問題と、出題は少ないものの時々細かな基準の数値まで聞いてくることがあります。前に似たようなところで言いましたが、基本部分を完璧にした後、余裕あれば、このような細かいところまで覚えてください。

 

 例題15 道路運送車両の保安基準の細目を定める告示で規定されている非常信号用具は、夜間150m

    の距離から確認できる赤色の灯光を発するものであることとされています。

 

 正解は×です。根拠条文は「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」第220(非常信号用具)1項第1号に、「夜間200m」とされているからです。そして、テキストのこの後の条文を見てみると、同じような警告を発する用具について細かい規定が並んでいて、次の「警告反射板は、夜間150m」、その次の「停止表示器材は、夜間・昼間200m」、例題の「非常信号用具は、夜間200m」となっています。全く、ややっこしいですね。でも、一緒に講師を努めてくれていた同僚が、簡単な覚え方を受講生に提示してくれました。それは、

 

 用具の名称の漢字の数が、 「5文字は、150m」  「6文字は、200m」

 

 なるほど! 「警告反射板」のみ5文字で、他は6文字、かつ字数の少ない方が小さい150mで、後は200mと覚えれば簡単ですね。このように、重箱の隅をつつくような問題を出されてもスマートに解答できるようになれればかっこいいですね。

 

 最後に、多少ひねった出題をみてみます。

 

 例題16 道路運送法の規定に基づく「事業の休止」中であっても、道路運送車両法の規定する継続検査

     を行うことができます。 

 

 ひねったと言っても一般常識で解けそうな問題ですね。正解はもちろん〇です。仕事を休んでいるときは「継続検査」など車両の維持管理的なことをしてはならない、などという法令は存在しません。

 

 さて、「道路運送車両法」については1回でまとめてしまいましたが、この他にも「自動車登録番号標の封印」や「自動車の点検及び整備に関する手引き」などからも、たまに出題されますが、どれも条文を読んでいれば答えられると思います。先にも書きましたが、「車両」に関する問題は出題少ないからと軽視せず、提出期限・有効期限等を中心にしっかり覚えましょう。

 

 次回は、また「旅客」に対する問題に戻って、今回考えてきた「車両」で、どのような「旅客」を引き受ける義務があるのかを中心に考える予定です

 

 

 今回も、ご覧いただきありがとうございました。