みなさん、こんにちは!

 

 この講座も徐々に回を重ね、個人タクシーを目指す上で問われる重要な事項、「事業計画」「運送約款」「運賃及び料金」の問題を中心にみてきました。
 これらの、経営者として事業を継続する上で欠かせない知識を持って実際の現場ではお客様 = 「旅客」と向き合う訳です。そうです、試験では「旅客」に対しての向き合い方や、いろいろな状況での「旅客」の取り扱い方も、たくさん出題されます。それらは、ほとんどが省令名からも推察できるように「旅客自動車運送事業運輸規則」に書かれています。でも、その前に大元の法律の「道路運送法」の「第1条 目的」をみてみましょう。

 

 道路運送法

  (目的)

1  この法律は、貨物自動車運送事業法 (平成元年法律第八十三号)と相まって、①道路運送事業の運営を適正かつ合理的なものとし、並びに道路運送の分野における利用者の需要の多様化及び高度化に的確に対応したサービスの円滑かつ確実な提供を促進することにより②輸送の安全を確保し、道路運送の利用者の利益の保護及びその利便の増進を図るとともに、道路運送の総合的な発達を図り③もつて公共の福祉を増進することを目的とする

 

 みなさんが一番初めに暗記したと思われる「道路運送事業の目的」を定めた重要条文ですね。 この条文は、下線①が目的達成の為の「手段」、下線②が「具体的な目的」、下線③が具体的な目的を達成することによって目指す「総合的な目的」という構造です。ここでいう「目的」は、我々の「旅客自動車運送事業」のみならず「貨物自動車運送事業」「自動車道事業」全て含んだ「道路運送事業の目的」です。

 

①「輸送の安全の確保」
②「 道路運送の利用者の利益の保護」  「その利便の増進 」
 「道路運送の総合的な発達」

 

前述の全ての「道路運送事業の目的」なので、「旅客」だけではなく、貨物自動車運送事業を利用する「荷主」、そして自動車道事業を経営する事業者に対しての「目的」として、対象を「旅客」などと限定せずに「道路運送の利用者」としていたり、「道路運送の総合的な発達」という包括的な表現をしています。テキストでは、我々の事業に関する条文のみ抜粋されていますが、他の事業に関する条文も含む「道路運送法」の全文は、かなりの分量なのです。ここで問題です。

 

(平成283月 中国運輸局)
例題1  道路運送法の目的には、旅客自動車運送事業者の利益を保護することが含まれています。

 

正解はすぐ×と分かりますね? 今見てきたように、「利益を保護」する対象は、あくまでお客様側=「道路運送の利用者」で「事業者」側ではありません。我々の事業でいえば「旅客」、貨物自動車運送事業でいえば「荷主」に対して「利益を保護し、その利便を増進」するのが目的です。

そして「道路運送法の目的」の中で、我々の事業に該当する「目的」をより明確に定めているのが省令「旅客自動車運送事業運輸規則」の第1条です。

 

旅客自動車運送事業運輸規則

(目的)
第1条  この省令は、旅客自動車運送事業の適正な運営を確保することにより、輸送の安全及び

旅客の利便を図ることを目的とする。

 

     ①「輸送の安全」

  ②「旅客の利便」

 

これが、我々の事業の2大「目的」です。①「輸送の安全」 = 「旅客」を安全に輸送することは、重要かつ基本的な「目的」ですね。②の「利便」は聞き慣れないかもしれませんが、「旅客」にとって「都合のよいこと、便利なこと」という意味です。この2つの「目的」を、タクシー会社などではよく「安全、快適、安心の○○タクシー」といった様な標語で表したりしていますね。

 

(平成283月 東北運輸局)
例題2   旅客自動車運送事業運輸規則は、輸送の安全及び旅客の利便を図ることを目的としています。

 

条文通りの○問題です。簡単すぎますが他の条文でも、この「目的」に対する心得的なものがいくつかあるのでみてみましょう。

道路運送法

(輸送の安全性の向上)
22  一般旅客自動車運送事業者は、輸送の安全の確保が最も重要であることを自覚し、絶えず輸送の安全性の向上に努めなければならない。

 

旅客自動車運送事業運輸規則

(一般準則)

2  旅客自動車運送事業者(旅客自動車運送事業を経営する者をいう。以下同じ。)は、安全、確実かつ迅速に運輸を遂行するように努めなければならない。

  旅客自動車運送事業者は、旅客又は公衆に対して、公平かつ懇切な取扱いをしなければならない。(以下、省略)

(輸送の安全)
2条の2 旅客自動車運送事業者は、経営の責任者の責務を定めることその他の国土交通大臣が告示で定める措置を講ずることにより、絶えず輸送の安全性の向上に努めなければならない。

例題です。

(平成283月 中国運輸局)

 例題3 旅客自動車運送事業者は、旅客又は公衆に対して、公平かつ懇切な取扱いをしなけれ

    ばなりません。

 これも条文通りで○ですね。このように、我々の事業の「目的」についての出題はあまり捻った問題は出ませんし、出たとしても、「旅客自動車運送事業者が、公平かつ懇切な取扱いをしなければならないのは旅客に対してです。」ぐらいの誤答問題なので、勉強をしていなくても解けるものがほとんどだと思います。しかし、問題が簡単といっても、今まで挙げてきた条文は、我々の事業に対する「目的」なので、個人タクシーを晴れて開業できるまではもちろん、開業後も廃業するまで無事故無違反でお客様を「安全、確実かつ迅速に運輸を遂行」したいものです。

 

 しかし、現実に絶対大丈夫はないので、不幸にも事故を起こしてしまったり、「旅客の利便」を損ねて、「苦情」を受けてしまうことも想定されます。次回は、そんなときに「旅客」に対してどう対処すべきと定められているか考えてみます。

 今回も、ご覧いただきありがとうございました。