みなさん、こんにちは!

 今回は具体的に「一般乗用旅客自動車運送事業標準運送約款」の中身の中で、理解しにくいところを中心に解説していきます。この先は、テキストの「一般乗用旅客自動車運送事業標準運送約款」を開いていることを前提に進めます。

全3ページに収まっているので、まずは一通り目を通してみてください。

 実際に条文を読んでみると分かると思いますが、お客様向けに丁寧調で書かれているので、多少法律用語が入っていても、第2条~第10条は、比較的分かりやすいと思います。ただ、初めの第1条ですが

 

 第1条

当社の経営する一般乗用旅客自動車運送事業に関する運送契約は、この運送約款の定める

ところにより、この運送約款に定めのない事項については、法令の定めるところ又は一般

の慣習によります。

 

2 当社がこの運送約款の趣旨及び法令に反しない範囲でこの運送約款の一部条項について

特約に応じたときは、当該条項の定めにかかわらず、その特約によります。

 

まず第1項は、基本的にはこの「運送約款」で定めている内容で契約をしますが、例外的なことは、他の法令や一般の習慣に基づいて契約しますということを宣言しています。これは、それほど難解ではないと思いますが、第2項はどうでしょう

「運送約款の一部条項について特約に応じたときは、当該条項の定めにかかわらず、その特約によります。」初めて読んだ方は、???ではないでしょうか? なので、次の様な出題をされます。

 

 

  例題 一般乗用旅客自動車運送事業の標準運送約款には、事業者が特約に応じたときは、

    旅客から収受する運賃及び料金の額は、地方運輸局長から認可を受けたものでなくて

    もよいことが規定されています。

 

 

 正解は、×です。これは「特約」とは何を指しているか分かっていないと解けない問題です。一般的には「特別で有利な約束」的なニュアンスがある言葉なので、例題の様なひっかけが出ますが、ここでいう「特約」とは、

 

   ※ 特約 = チケット類(チケット、福祉補助券など後払いのもの)・時間制運賃

 

 

 別の表現をすると、「メーター運賃の様に下車の時に収受するもの、ではない運賃・料金」となります。「特別の約束」という意味なのに、そんなことなの? とまだ疑問符だらけかも知れませんね。これを考える鍵は、「特約」の前に書かれている「運送約款の一部条項について」です。この「一部条項」が何を指しているのかはっきり分かれば、その後に続く「当該条項(一部条項のこと)の定めにかかわらず、その特約によります。」という意味もクリアに見えてきます。まず、「運送約款の一部条項」と限定しているので、他の法令の条項ではなく、運送約款の中の条文を指しているということです。それはどの条文かというと、第6条です。

 

 

 ※ 運送約款の一部条項 = 6 当社は、旅客の下車の際に運賃及び料金の支払いを求めます。

 

 

 通常の仕事では、お客様をお乗せして「実車」メーターを入れて、下車時に「支払」を押して運賃・料金を請求しますね。でも、チケットや「貸切」でメーターを入れずに「時間制運賃」で営業するときは、「下車の際に」運賃・料金を請求しますか? しませんね。つまり、「運送約款の一部条項について」「特約に応じたとき」とは、「第6条の下車の際に運賃及び料金の支払いを求める」ことについて、チケット等で「後払いの特約に応じたとき」は、「第6条の定めにかかわらず、その後払いの特約によります。」という意味だったのです。

 う~ん、ずい分と面倒くさい表現しますね。それだったら、「第6条について、チケット等で応じたときは、第6条の定めにかかわらず、後払いの特約によります。」と書いてくれればよさそうなものですよね。しかし、これは法令表現の柔軟さで、将来的に時代のニーズなどで条文が追加や削除される可能性があるのに対処するためです。第6条と限定してしまうと、大幅な修正を要しますが、この表現にしておけば条文の増減があっても第1条の変更は不要だからです。理屈はともかく、「特約」 = 後払いのチケット類・時間制運賃と覚えればOKです。

 

 次に、第5条(運賃及び料金)も時々、出題されるのでみてみましょう。

 

 

  例題 一般乗用旅客自動車運送事業の標準運送約款には、旅客から収受する運賃及び料金は、

    旅客の乗車時において地方運輸局長の認可を受け、又は地方運輸局長に届出をして実施

    しているものによることが規定されています。(平成28年3月 近畿運輸局より)

 

 

 正解は、条文通りなので○です。×問題としては、「乗車時」が「下車時」になっていたり、「地方運輸局長の認可を受け」以下が、「事業者が定めたものによる」となっていたりするぐらいです。補足説明としては、少し前までは「又は地方運輸局長に届出をして実施し」という部分はありませんでした。他の回で少し触れましたが、これは全国的に広まっている特定地域や準特定地域に指定されると、運賃及び料金は「認可」ではなく、地方運輸局長が公示する「公定幅運賃」の幅の中で、各事業者が運賃及び料金を届け出ることになっているからです。しばらくは、そこの部分を聞く出題はないかも知れませんが、範囲にはなっているので留意しておきましょう。

 

さて、今回まで「事業計画」「運送約款」と「認可」を受けなければならないものの中でも、重要なものを考えてきましたが、もうひとつ重要で避けて通れない「運賃及び料金」について、次回から考えてみます。これは、法律・省令・通達の至るところで、さまざま細かく決まっているので大変ですが、今までのテーマを解説していく形ではなく、実際のいろいろな種類の出題を解きながら数回に分けて解説していく予定です

 

 

今回も、ご覧いただきありがとうございます。お疲れさまでした。